ワークライフバランス?そんなの幻想でしょ

会社員マインド

★まえがき「ワークライフバランス重視の会社員…?」 

若い人たちが会社を選ぶとき「給料よりもワークライフバランスを重視します」なんていうコメントを見かけることがあります。気持ちはよく分かりますが、…ちょっと違和感を感じます。そのセリフはフリーランスとして会社と対等に業務契約を取り付けられる人のセリフかと思います。フリーランスではなく“従業員”という選択をした時点で“会社vs従業員”。力関係は明白です。従業員には給料も働き方も基本的に選択の自由はありません。まずは従業員として雇用契約に“従う”しかない。厳しいようですがこれ現実です。

では、特別なスキルもなく、“従業員”として雇われの身で働く場合、働き方は選べない、もう定年退職までただただ耐えるしかないのでしょうか?耐えるしかないなら、できるだけ労働を避けてコスパよく働きたいって思ってしまいますよね。

★会社での出世ってコスパ悪い? 

昨今、出世したくない会社員が増えています。そりゃそうです、会社員デラえもんも気持ちすんごくよく分かります。 

出世すると… 
・仕事が増える。仕事は理不尽になる。責任も重くなる。 
・給料増えない。それどころ管理職になると残業代も出ない。 

上司が青い顔で家族を犠牲にしながら身体ボロボロになるまで深夜残業してるのを見ると全くうらやましいとは思わない。「ああはなりたくないよなー」と思うのはごくごく当然。

しかし、ちょっと考えてみてください。あなたが「あんな風にはなりたくない」と憐れんでいるその係長は、本人が望んで出世したと思いますか?プライベートも顧みない企業戦士なのでしょうか?

…いやきっと違う。 

ただ、係長は会社に命じられるままに真面目に働いてたらいつの間にかそのポジションに引きずりあげられただけ。 

若者が「会社員としての安定は欲しいけど仕事も責任もやだ」なんて言うのは、気持ちはすごくよく分かります。しかしそれは絵空事。口ではそう言ってても実際に会社はやめられない。日銭を稼がないといけない。そのうちなんとなく結婚して家買って子供出来て、なんてやってるといよいよ贅沢言ってられない。そのころには係長あたりに祭り上げられて梯子を外されるんです。青い顔して深夜残業するしかない。望んでなくても。

★そもそも「出世」は断れませんよ 

実際、デラえもんも出世から逃げたい派でした。出世欲や承認欲求は人一倍低いし、チームをリードするなんて全くガラじゃない。管理職の庇護のもとでゆるゆる逃げきれると思ってました。しかしというかやはりというか、残念、会社は見逃してくれませんでした。

ある日上司に呼ばれて会議室に入ると「昇格試験申込書」という書類とともにいきなり言い渡されました「お前分かってるよな、絶対に落ちるなよ」と。
 
…え?オレ昇格したいって言ったことないデスヨ。
「係長になってみる気はないか?」とか「昇格試験受験する?」とかオレの意思確認的なことはないんでしたっけ? 

出世しない自由ってないんすか? 

そうです、本人の希望なんて関係ない。 

どの部門もいつも仕事が山積みです。その仕事をこなすための組織設計と人員配置はすでに決定済みです。そこにはデラえもんの昇格も当然織り込み済み。ただし、各部門が自分たちの都合だけで管理職を増やせるわけではありません。年間に昇格できる人数は会社全体で制限されています。そこで部長は他部門と話し合って奪い合って、なんなら半ば強引に「昇格者枠」をむしり取ってきます。

そうやって勝ち取ってきた昇格枠です、絶対に無駄にできない。もし私が落ちれば組織設計も来期以降の部門の成果達成も危うくなるわけです。部長の顔にも泥塗ることになりますしね。

つまり、昇格する/しないに際して本人の希望なんて全く関係ない、
全ては会社都合ってことです。

「出世したくない」っていう逃げの姿勢“だけ”ではワークライフバランスを獲得できないということ。普通に仕事していれば、望まなくても出世はまわってくきます、逃げ切れない。

★出世から逃げてもムダならどうすれば…? 

質問:じゃ、従業員はお先真っ暗なのか?身体がぶっ壊れるまでプライベートも家族も犠牲にしながら働くしかないのでしょうか。出世は避けられないのでしょうか…?

回答:出世する/しないは基本的に選べません。 

というかムリに「出世しない」を選ぶのはおススメしません。 

理由:「出世しない」はワークライフバランスを実現する手段にならないからです。 

そもそも、なぜワークライフバランスを実現したいんでしょうか。ワーク(労働)は価値が低いもの、ライフ(私生活)こそが価値あるもの、と考えて、必要最低限の労働で充実した人生を送りたいという考え方かと思います。コスパ重視ってことですね。

しかし、会社は最低限の労働で充実した私生活を提供してくれません。会社があなたに「出世せずにゆるゆる働く」なんて許してくれると思いますか?。会社は慈善団体じゃない、利益を上げるための冷酷な営利団体です。従業員を甘やかすはずがありません。フツーに限界まで絞り上げてきますよ。

それに抗うには「出世して裁量を手に入れる」のがひとつの手段です。 

★従業員として、ちょっとでも自由を手に入れよ 

基本的に従業員には働き方の自由度は低いです。 

・どこで仕事をするのか 
・どれだけ仕事をするか 
・給料 

これらはフルタイムの会社員でいる限り自由が乏しい。今どきの会社でも、PCひとつでノマドワーク、年に1度は1ヶ月のバケーション…なんて働き方はなかなか難しい。また給与テーブルを個人の力で劇的に変化させるのも難しいですね、キホン年功序列です。

よほど奇抜な会社でない限り、これらの自由が欲しければ独立するしかありません。「従業員」という枠組みの中で実現するのは困難です。あきらめてください。 

ただし、少し希望はあります。出世することで、 

・どんな仕事するのか。 
・いつまでに、どんな成果を出すのか。 
・誰と仕事をするのか。 

これらは社内で裁量を握ることで少し選択の自由を獲得できます。ほんの少しですが。 

やりたい仕事があるなら、自分で企画して承認してもらえばいい。そのために必要な予算や人材を選ぶこともできます。どうにもウマが合わない人がいるなら、それを遠ざけるように人員配置してもよい。それが裁量が得るということです。

意味がない仕事を遠ざけて、意味がある仕事に注力することもできます。 

ここで注意が必要なのは「選択の自由」が手に入るということです。「出世」イコール「仕事が楽になる」ではありません。自分で戦略を立てて心地よい働き方へと寄せていく努力が必要になります。

会社での時間を意味のあるものに寄せていくために「出世」はひとつの手段になると考えます。 

★結論「ゆるふわなワークライフバランスなんて幻想」 

「出世しない=ゆるゆる会社にぶら下がっていられる」というのは幼い幻想。 

そうではなく、出世して仕事と仲間を選ぶ裁量を獲得する方が建設的です。 

ただ、出世すればするほど闇が深くなるのも現実。そう甘くない。出世しすぎるものヤバそう。 

しかしこれだけは保証します。「逃げ」は解決方法にはならない。もう終身雇用の時代ではありません。逃げるほど社畜へ追い込まれます。もし無意識に「一生逃げ切れる」なんて期待しているなら早めにあきらめた方がよいです。

出世が正解ではないのですが、出世から逃げるよりは飛び込んだほうがマシだと思います。

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