会社員デラえもん 同調圧力が憎い

デラえもんってどんな人?

20代 給料なんて100%可処分所得だぜ

さて会社員になったデラえもん
特にやりたい仕事でもないが、同期入社のメンバーはみんな多趣味で個性的だった。
独身社員寮は毎日が修学旅行のようだった。
仕事が終われば気の合う友達の部屋に行っては、毎晩飲みながらバカ話で盛り上がった。
昼食は会社の社員食堂、朝晩の食事は寮の食堂、寮の家賃、どれも給料天引き。

ヤベー、これ給料の手取り全部使いきっても生きてけんじゃん!?

同期入社の仲間はバカばっか(もちろん デラえもんもね)。
みんなお金の教育を受けてないので“幼い”大人。
就職して突然20万/月の自動マネーマシンを手に入れると、使い方がヒドイったらありゃしない。
車買ったりバイク買ったり飲みまくったり旅行いったり、みんな手元のお金は全部使い切ってました。頭金ゼロで高級車をローンで買って多重ローンに陥ってる友人も少なくなかった。
でも大丈夫「ローン組めるのはサラリーマンの特権だぜ!」(←コレみんな言ってた)
みんな我先にキリギリスのように浪費しまくってました。
資産形成どころか貯金しているヤツの方が少なかった。

30代 ぼちぼちサラリーマンの闇が訪れるよね

そうは言ってもアホみたいな浪費生活はそうは長く続きません。
30代にもなれば、仲間もぼちぼち結婚し始めます。
結婚して落ち着いていく仲間を「なんだよ、もう身を固めちまうのかよ?」と
裏切り者のようにイジったりして恨めしく思ったものです。

給料は超年功序列。
1年に1回着実に5000〜7000円/月ずつ上がります。
自分の仕事の成果には全くリンクしていません。
サボろうが頑張ろうが給料には全く関係ありません。

一方で、30代にもなると会社では中堅どころです。
割と理不尽な目に遭う場面も増えてきます。
心身ともに限界まで追い詰められるようになります。

今思うと不思議ですね。
「なんであんなに限界まで仕事頑張ってたんだろ…?」

「仕事は給料だけじゃない」ってヤツですかね?
「自分の作った製品が世に出るのはこの上ない喜び」ってヤツですか?
「仕事を通じて成長するって自己実現!」ってヤツですか?

いや、違う。「やり甲斐」のためになんて仕事してないよ。

「ヤリガイ」のためにメンタルダウンするまで仕事しないでしょ

明らかになんらかの圧力が会社員を追い詰めています。
このこのあたりが「会社員」という生き方の最もヤバいところです。

「オマエがやらなきゃ周りに迷惑がかかるぞ」という圧力です。
「オレがこんなに頑張ってるのに、オマエだけ楽する
なんて許せねぇ」という圧力です。

これが会社というコミュニティの何とも言えないキモチ悪いところです。
デラえもんはこれがたまらなくキライです。

“同調圧力” これが会社員を思考停止に追いやり、人生を台無しにしています。

40代 これでいいんだっけ?サラリーマン

30代のデラえもん、同調圧力の存在に気づいていませんでした。
デラえもん、基本的に真面目な気質。
素直に「会社員たるもの精一杯 会社の事業に貢献するのが本分」と信じていました。
もちろん、それは今も変わりません。
給料をもらえるのは、私が労働力を提供し、それが会社の利益につながるからです。

そこには一定の信頼関係があると信じていました。

“会社員は会社の事業に貢献し”
“会社側は給与だけでなく成長の機会をもって社員に還元する”

という相互関係があると期待していました。

しかし、40代にもなれば、管理職にもなれば、会社のブラックな側面をたくさん見るようになります。

・優秀な社員ほど大量の仕事を浴びせられ、限界まで追い込まれ、時には潰れていきます。
・パワハラのモンスター社員でも必要悪として黙認され、若手社員に強制労働を強いています。
・その結果、一定の確率で若手社員がメンタルダウンしていきます。
・部下の社員の年次評価は5年先まで既に決まっています。
 どんなに頑張っても評価は覆りません。どんなにクソ社員でも、着実に昇給していきます。

成果主義って一体なんだよ…

・メーカーの開発部門、ビジョンは「技術の前では皆平等」を標榜しています。
 しかし、実態は先端技術についていけない老害社員が幅を利かせています。
・老害の的外れな指示で意味のない実験業務をやらされている若手社員が私につぶやきました。
 「これは仕事ではありません、労役です」

若手社員の表情がみるみる曇っていく… 心が腐っていく…

・私はあの手この手で業務効率を上げて、なんとか余力を捻出し、
 優秀な社員にはもっと価値のある仕事をやらせてあげたい、
 成長の機会を提供したいと繰り返し部長に提案しました。
・しかし、そのたびに部長はニッコリ笑ってスルー。
・その間も会社は容赦なく人員を減らしていく。
・いよいよ余力はない、右から左に“こなし業務”をするだけで精一杯です。
・俺たちは「開発部門」じゃないのかよ。
・これ以上部下に仕事を載せられない。やめてくれ、みんな、潰れてしまう…

彼らを消耗品のように扱うのはもうやめてくれ!お願いです!!

…私は部下を守りたかった。彼らのポテンシャルを伸ばしたかった。
それが、会社の利益にもつながると信じていました。

でも、それは期待されていなかったようです。
会社は若手社員の伸びしろなんて興味が無いようです。
押し寄せる仕事を“こなす”ためには、社員を軍隊の新兵のように使い倒すのが手っ取り早い。
パワハラ上等の鬼軍曹にプロジェクトを仕切らせました。
若手社員はうつむいて命令に従うだけ。

この部門では正社員も派遣社員も一般職も総合職も老いも若きも同じように扱われています。
マニュアル通りの“こなし業務”を猛烈なスピードでこなしています。
個性は尊重されず、工夫や提案は何も期待されません。
思考が停止します。

「だまって手を動かせ」

絶対服従を強いられた新兵たちは溜まったストレスをお互いにぶつけ始めます。
「オレがこんなに我慢してるのになぜあいつだけ違う仕事してるんだ?」

とうとう同調圧力が部門全体を支配してしまいました…。

…。

若手社員の成長ばかりを唱えて目の前の仕事を軽視する私はとうとうプロジェクトを外されてしまいました。
私が移動するとき、ひとりの若手社員が声を掛けてくれました。

「デラえもんさん、ありがとうございました。あなたの考え方は好きでした。」

「考え方は好き」…???どういう意味だろう。
彼は純粋に私を慰めてくれたのだと思う。それは素直に嬉しかった。

でも「考え方好き」ってどういう意味だろう。
・「気持ちだけはありがたかったよ」ってこと?
・「はじめから無理だと思ってましたよ」ってこと?
・「オレはとっくに諦めていましたよ」ってこと?

彼がとっくに「諦めていた」のが本当に辛かった、せつなかった。
私は彼を守りたかったのに…。

何か張りつめていたものが私の中で切れました。

会社は社員を使い捨てにするつもりなんだ…。

私は同調圧力が憎い。
人の可能性を奪う同調圧力がたまらなく憎い。

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